外国語と情報処理の新しい出会い:
インターネットと多言語処理

Last Updated: 2004-02-08
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../Risc/News 第11号巻頭言より ../Risc/News麗澤大学情報システムセンター のニューズレターです

外国語と情報処理の知識―― 一見すると異質な2つの分野が,いま急速に結びつきを強めています。今回は「インターネットと外国語」と「パソコンの多言語処理」をキーワードに,この2つの分野をうまく組み合わせて学習することで開かれる新たな可能性をご紹介したいと思います。

インターネットの便利さ,手軽さについてはここで説明するまでもないでしょう。ウェブページや電子メールなど,さまざまなサービスを使って私たちは世界中と情報を瞬時にやりとりできます。しかし,皆さんはこの利点を充分に活用していますか?次の質問に答えてみてください:自分の学習している言語のウェブページを見たことがありますか?自分の学習している言語のメル友がいますか?――外国語学部の多言語処理の授業などで私はこれらの質問をするのですが,両方の質問にはい,と答えられる人は,まだまだほんの一握りにすぎないようです。

Global Research の2002年3月末現在の統計データによれば,現在インターネット上には3000億を超えるウェブページが公開されていますが,そのうち日本語以外の外国語で書かれたページは94%を占めるといわれています。インターネットの情報を活用するために,外国語の知識をもつことがいかに有利か,言いかえれば,外国語を学習する上で,インターネット上の生の情報を利用することがいかに有効か,容易に想像できるでしょう。

電子メールも生きた外国語学習,という意味で絶大な威力を発揮します。しかも,電子メールはビジネスや研究などの情報交換の手段として急速に一般化しており,今後,メールのやり取りが職場等での外国語の使用場面のかなりの割合を占めることになると思われます。「外国語で電子メールが書ける能力」が必須となる時代が来ようとしているのです。

インターネットを使った外国語による情報の収集や発信の必要性が高まっている背景には,パソコンの多言語処理技術が急速に進歩していることが挙げられます。これまで,各国や地域によってまちまちであった文字の処理方法が ユニコード (Unicode >>用語解説) という世界標準の文字コード体系によって一本化されたことで,1つのパソコンで同時にさまざまな言語のテキストを扱うことが可能になったのです。昨年までの大学のパソコンのOS (基本システム) だった Microsoft Windows 2000 >>用語解説,および今年度導入された Windows XP >>用語解説 は,それまでのOSとは一線を画し,ユニコードに完全対応した,まさに「多言語を扱う人のためのパソコン」なのです。

ここで重要なことは,パソコン上で外国語テキストを扱うには,その言語に堪能である,というだけでは不充分だということです。各言語の「入力システム」を使って文字を入力する方法や,テキストを正しく表示するためのフォント >>用語解説 の知識が不可欠ですし,外国語テキストを保存したり,ユニコードを利用して多言語混在テキストを作成するためには,日本語を扱う時には気にかけない「文字コードの体系」(文字コード >>用語解説) の知識が必要になります。 このような,パソコンで外国語や多言語を扱うための知識を真に生かすことができるのは,ほかでもない,外国語を学んでいる私たちです。外国語のウェブページを積極的に閲覧し,外国語でコミュニケーションするメル友を作り,さらに外国語のウェブページで自ら情報を発信する――「専門知識」としての多言語処理の知識は,外国語を積極的に「使う」ための絶好の舞台を作ってくれるものといえます。

麗澤大学の情報設備は文科系私立大学のなかでも屈指の充実ぶりをみせています。この絶好の環境を活用し,外国語と情報処理の知識を併せ持つ「国際社会に求められる新しいタイプの人材」が一人でも多く育ってほしいと思っています。

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First Created: 2003-07-24;
Last Updated: 2004-02-08;
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