成安県西姚堡村の影絵芝居は、専業の劇団ではなく「皮影箱」を中心として活動する「班子(パンズ・グープ)」である。1950年代の初めに、老芸人・蘇文秀(河北省肥郷県出身)が当地で影絵芝居を演じ、それを見た愛好の若者を3年程訓練し、班子を結成したという。蘇文秀は、1999年に96歳で石家庄で亡くなったが、若い頃に片目の「老一子(ラオイーズ)」と呼ばれた山東出身の旅芸人から影絵芝居の技術を習得したという。当時、成安県では西姚堡村を含む近隣の7つの村で班子が結成されたが、現在でも活動しているのは西姚堡村の班子だけである。1950年代初めには、陽暦10月〜12月までの農閑期を中心に年間60回程公演し、石家庄・安陽・邯鄲・武安・渉県などの地で演じた。主な演目は、日中は太陽の光を借りて「封神演義」、夜間はランプの光(現在は電球)を利用して「西遊記」であった。西姚堡村の班子は、現在12名で組織され、60歳以下は3〜4名、高齢化が著しい。人形は牛の皮で作られ、頭部は120〜150個、身体の部分は「文」が40、「武」が40個程保有している。人形はもともとは他所から購入したものであるが、文化大革命中に散逸し、その後は自分達で製作した。楽器は、大鼓・小鼓・大鑼・小鑼・釵・大 ・三弦・板胡・二胡である。舞台がせまいためか、人形の操作は一人が行なっていた。 |