唐山市豊潤に居住する盧福増氏は人形製作(刻皮影)の工人である。1976年頃から本格的に人形製作に携わるようになる。唐山大地震の影響で肢に障害が残り、力仕事に従事することが出来なくなったためである。唐山地区は影絵芝居が大変盛んで、各村ごとに「影戯(インシー)」の劇団があり、人形製作に携わる者も多かった。盧氏のかつて居住していた村(李 庄鎮小漫港村)にも老工人・王維堂が人形製作をしていたので見よう見まねで始めた。1976年以前は、遊びで紙製の人形を遊びで作っていた。盧氏の家では、祖父が国画を描き、父は切り紙(剪紙)をしていた。人形製作の材料は、主にロバの皮を使用するが、大きな人形は牛の皮を用いる。ロバの皮は、2〜3日水に浸けて軟らかくした後、専用の台に載せ「大刮刀」で肉や毛をおとし、「刮刀」で皮を薄く剥ぐ。彫刻刀などを用いて人形をかたどり、印刷用の化学染料を用いて黒・白・ピンク・黄・赤・緑・深緑・黄緑・藍の9種類の色を塗り、仕上げに艶出しの桐油を2度塗って完成させる。現在、製作している人形は大きさにより、2尺・1尺半・1尺2寸・9寸に分けられる。また、役柄により、生・旦・ ・末・丑など、舞台道具として椅子・卓・馬・轎・輦なども製作するので、製作する種類は数百種にものぼる。作品は、唐山地区の劇団をはじめ、香港・湖南・西安・東北・北京などの劇団に売却している。1年間に使用するロバ・牛の皮は、200枚ぐらいである。劇団によっては原料のなめし皮だけを購入する場合もある。 |