フィンランド語の他動詞派生使役動詞を用いる使役構文(MC)について、 被使役者を表す名詞句(Ce)の統語的な位置付けを検討した。 MCでは、Ceは斜格の名詞句(接格)として現れる。発表では、 Ceが文法格をとる分析的使役構文(AC)を比較対象に、Ceの現れ方を調査し、 以下の2点を指摘した:
2点は共にMCのCeが随意的な要素であることを示している。 従来の類型論では、Ceは使役構文の項であり、使役構文では 元の文に比べ動詞の項が1つ増加すると捉えられてきた。 この解釈は、少なくともフィンランド語のMCには妥当ではない。 フィンランド語の事例は、使役のマーキングと項の増加のプロセス とは分けて考えたほうがよいことを示唆する。