本発表では、フィンランド語の名詞を修飾する出格、 分格修飾語の用法を、「部分」を意味する名詞 osa を例にとり論じた。 調査では、雑誌コーパスに現れた osa + 出格、 分格修飾語の用例を収集し、osa が現れる文法環境と修飾語の格の分布の相関を調べた。
発表では、いくつかの頻度の高かった構文パターンについて、 osa の位置により、修飾語の格の出現頻度がどう異なるかを分析した。 その結果、
といった環境で、osa は高い頻度で出格をとって現れた。 一方、これらの環境とは対照的に、
修飾語の 9 割以上が分格で現れた。発表では、(d) の環境で、 名詞句は多くの場合不定であることに注目し、 osa の定性が修飾語の格の選択に影響していることを論じた。