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フィンランド語の名詞修飾における出格と分格の用法

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千葉 庄寿 (ちば しょうじゅ)
日本言語学会第115回大会 研究発表要旨

本発表では、フィンランド語の名詞を修飾する出格、 分格修飾語の用法を、「部分」を意味する名詞 osa を例にとり論じた。 調査では、雑誌コーパスに現れた osa + 出格、 分格修飾語の用例を収集し、osa が現れる文法環境と修飾語の格の分布の相関を調べた。

発表では、いくつかの頻度の高かった構文パターンについて、 osa の位置により、修飾語の格の出現頻度がどう異なるかを分析した。 その結果、

(a)
節の主語
(b)
他動詞節の目的語
(c)
主動詞が受動形の節の目的語

といった環境で、osa は高い頻度で出格をとって現れた。 一方、これらの環境とは対照的に、

(d)
osa がコピュラを主動詞とする節の述語として現れた場合

修飾語の 9 割以上が分格で現れた。発表では、(d) の環境で、 名詞句は多くの場合不定であることに注目し、 osa の定性が修飾語の格の選択に影響していることを論じた。

(同一内容の要旨が『言語研究』113号 (1998, p.158) に掲載されています。)

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