雲南紙馬
甲馬
木刻黒白版画‥雲南紙馬‥
「紙馬」(ジーマー)は「甲馬」(ジイアマー)或いは「甲馬紙」(ジイアマージー)と称される木刻黒白版画である。日本語では、「護符」と称されるいわゆる「おふだ」のことである。
 明代の長編小説『水滸伝』の第38回には、江州の牢役人・戴宗が他人にはまねのできない道術を心得ていたことが紹介されている。
それは、旅に出るとか緊急の軍事情報文書を飛ばすとかいう場合に2枚の甲馬(こうば・神仏の像をかいた御札)を両脚に結びつけて神行の法をつかえば、日によく500里を行き、4枚の甲馬を結びつければよく800里を行く、と。この種の甲馬が法術に使用されていたことがわかる。また、宋代の市民生活を描写した『東京夢華録』や『夢梁録』には百貨を商う店が紹介されているが、そのうちの一つが「紙馬鋪」(ジーマープ)である。
 雲南紙馬は漢族を主として、大理の白(ペー)族・楚雄のイ(イ)族などの少数民族地区にも分布している。雲南の漢族は古くは漢代から伝統的な民俗文化を携えて流入しはじめたが、明代初めに大量移住のピークをむかえ、各民族と雑居しながら漢族の経済文化を広く伝播していった。
その移住の時期と密接に関連して、雲南紙馬は墨線だけを印するという明代の木刻技法の水準にとどまっていて、明代後期から始められたとされる多色刷り(年画)の技法が入る前の段階を示している。
 また、移住してきた漢族は出身地の旧俗を大量に持ち込んだが、紙馬を使用して行う年越しの祭祀儀式や病なおしなどのまじないもその中に含まれる。白族・イ族の少数民族は多くの漢族文化の影響を受けながら、民族独自の宗教観念である「本主」「大黒天神」「小黄龍」などの民族神・地方鬼神を形成し、特色ある紙馬を生み出している。

 本HPでは、雲南省西部・昆明周辺で収集した漢族の紙馬と、大理市白族の喜洲鎮・周城で収集した紙馬版木を公開し、今後の研究の礎としたい。

漢族の紙馬・画像へ⇒ 大理市白族の紙馬・画像へ⇒
「画像へ⇒」をクリックすると新しいウインドウが開いて、画像が出てきます。
ウインドウが隠れてしまった場合は、Windowsの方は下のタスクバーで「雲南紙馬」を選んで手前に出して下さい。Macintoshの方はメニューバーから「雲南紙馬」を選んで下さい。

参考文献
雲南紙馬・制作風景
雲南紙馬・制作風景
参考資料・版木参考資料・版木
参考資料・版木
このページのトップへ戻る↑


トップページへ戻る
Kanamaru_Seminar