5.民間陶磁器のもの
英語でchina(小文字)は、せともの、つまり陶磁器全体を表わす程、中国は陶磁器の生産が盛んである。皇室専用窯として明清の景徳鎮が代表する「官窯」と民間の生活雑器を生産する「民窯」とに大きく区分される。ここでは、明清以降の市民生活の中で使用された日用陶磁器を対象に収集することにする。



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1.紹興酒の罎子(タンズ) 画像へ→
粗陶製の酒や醤油を入れる口の比較的小さい“かめ”は、罎子(タンズ)という。紹興酒は、何年もねかせることから老酒(ラオチュウ)と称される。かめの表面に漆喰が白く塗られ、湿度を一定に保てるよう工夫されている。
2.皮蛋(ピータン)の缸(ガン) 画像へ→
粗陶製の口の比較的大きな"かめ"は、缸(ガン)という。陶土その他で器の形を作り、うわぐすりをかけて焼いたもの。土器より堅いが、磁器ほどには焼き締まらず、不透明。収集したものは、山東省の青島から横浜の港に輸出された皮蛋(ピータン)が入っていたもの。金魚を飼ったり、花木を植えたりするのに再利用されることが多い
3.泡菜(パオツァイ)の罎子(タンズ) 画像へ→
粗陶製の"かめ"は、中に貯蔵された漬物・泡菜(パオツァイ)が外気に触れないようにと二重蓋になっている。収集したものは、貴州省独山の塩酸菜(イエンスワンツァイ)もので、伝統的な紋様と、パンダをあしらった現代的な紋様がある。
4.褐彩嬰孩油灯(ヨウドン) 画像へ→
陶器製の油灯(ヨウドン)は、頭頂部に菜種・大豆等の植物油を入れ、中央に灯心草を置き、灯火をともす。収集品は、高さ11cmと小ぶりのもの。山西省のものと推定される。
5.土器製竹椅子型油灯 画像へ→
竹椅子型の台に載せた"かわらけ"に灯心をともす。植物性の油の予備は、下の竹筒に入れておく。自家製の油灯である。高さ25cm。
6.白磁製枕 画像へ→
陶磁器製の枕は、隋代から見られるが、唐・宋・元に広く流行した。主に北方でよく用いられる。収集品は、高さ10cm、幅10cm、横20cmで、中央部がおよそ2cmの窪みがある。産地不明。
7.陶器製孩子枕画像へ→
陶器製の枕は、男児・女児がそれぞれ横臥した姿をしたもの。山東省博市のもの。
8.青花魚紋薬船(ヤオチュワン) 画像へ→
薬船とは、薬研(ヤゲン)のこと。薬材を細かく磨り砕く道具。鉄製のものはよく見かけるが、陶磁器製のものは珍しい。彩色も染め付け紋様で美しい。産地不明。
9.汽鍋(チーグオ)画像へ→
土器製の鍋は、雲南省建水のもの。昆明名物の鶏の"水炊き"に使用される。最近、横浜・中華街のレストランで、同じ建水産の食器を見かけた。素朴な風合いが好まれているらしい。
10.紫砂茶壷・朱砂茶壷 画像へ→
江蘇省宜興は、明清の頃から民間陶器を焼く窯として有名である。特に紫色・朱色の泥を材料として釉薬をかけない焼き方は素朴な風合いで多くの文人墨客に親しまれている。1200℃での焼き上がりが紫色か朱色になるのは、材料の泥に含まれる鉄分の含量による。



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